オーストリア第三の都市と言われているリンツ。
メジャーではないまでも、異国情緒溢れる浸しみやすい街並みである。
その近辺にある山の山頂に「grottenbahn」という、日本ではあまりお目に掛かれないテーマパークが存在する。
今回は観光ガイドには乗らないオーストリアの子供向けアトラクションを訪れた話である。
写真の整理をしていたら、少し面白い写真が見つかった。
話は約一年前、このサイトを作る以前に遡る。
ザ・観光が目的のハンガリー→オーストリア→チェコの主要都市を周る、7泊9日の旅行に行った事がある。
その旅行の丁度真ん中、オーストリアのウィーンに滞在した後に“リンツ”という都市を訪れた。
そもそもリンツへやって来た目的は、「アルスエレクトロニカ」というメディアアートの美術館に行く為なのだが、それについては置いておこう。
今回はリンツ近隣の山にある「grottenbahn」というドワーフの洞穴を巡るライド型アトラクションに乗った時の話。
リンツの街並み
芸術の都ウィーンを差し置いてリンツへ向かう人がどれ程いるかは想像もつかないが、特殊な旅をしたいならオススメだ。
街の目玉である「アルスエレクトロニカ」は上手い時期に行けば世界最大のメディアアートの祭典が行われるし、離れた所でよければ工場夜景なんかも見れるそうだ。
▲夜のアルスエレクトロニカ
ドナウ川に向かって走るトラムと細長い繁華街は、まさに西洋の趣きを感じさせてくれる。
街の中心であるアウプト広場には、トラム含む個性豊かな電車と、ポケモンGOをする人(当時)で賑わっていた。
その中でも、レトロポップな雰囲気を醸し出している此方の登山電車に乗って「grottenbahn」のある、「ペストリンクベルグ」へと向かう。
ペストリンクベルグ
目的地となる「grottenbahn」とは、どの様に発音するのだろうか?
道中では常に「ぐろってんばはん」と呼んでいたが、現地の人にこう発音して伝わるのだろうか?
結局(一年経った今でも)呼び名は不明なまま、電車に乗って山の天辺を目指す。
川近くの小高い場所という立地もあって、割りかし裕福そうな家々が立ち並んでいる。
それを見つめながら、およそ30〜40分の電車の旅を終えると、メルヘンチックな執着駅に到着した。
標高519Mとあってなかなか眺めが良い山頂。
夜になれば夜景がとても美しいと、何処かのレビューで見た覚えがある。
だが、目指すは「grottenbahn」一択なので、他には目も触れずに直行である。
場所はよく分かっていないまでも、程々歩いていると可愛らしい建物が見えてきた。
その近くに明らかに此処だろうという感じのアーチ。
人は今の所見当たらないが、営業はしているようで一安心。
大きなクラウンのオブジェやドワーフの人形に手招きされながら奥へと進む。
小さい砦をモチーフにした感じの入場ゲートに到着。
チケットを購入して、既に到着していた子連れママ集団と共にゲートが開くのを待つ。
洞窟探検
上記の写真でなんとなく伝わったと思うが、この施設、大人が揃って訪れる場所ではない。
日本で例えて言うならば、王子からチンチン電車に乗って荒川遊園地に行く様なものである。
一巡前のライドが戻ってくると、ついにゲートが開いた。
小さいおじさん達の人形に見送られながらライドへと向かう。
入場〜ライドに乗り込むまでが思いのほか速くて、写真を撮り忘れてしまったので、パンフレットの写真から失敬して此方↓
ドラゴンのライドに乗り込むと洞窟探検の始まりである。
出発したライドは暗い洞穴をぐんぐん進む。
これも意外と速い。
この先細かく書く程でもないのでシンプルに説明しよう。
このライド、およそ150Mくらいの円周をグルグルと三周するだけの乗り物。
●一周目
向かって右側で常時ライトアップされている小さいドワーフの人形達を見る。
↓
●二周目
反対側ドワーフがライトアップされるので見る。
↓
●三周目
全ての電気がついて、終点近くでドラゴンが煙を吐く。
以上。
という淡白なアトラクション。
三週目のフィナーレ感と急に吐き出されるドラゴンの煙は見ものではあるが、子供騙しと言ってしまえばそれまで。
しかし、同乗した子供達は大歓喜だった。
地下の街と童話の世界
結構な時間を割いてやって来たのに、ライドの方が意外にもあっさり終わってしまった。
「え、これで終わり?」
と、少し緊張が走る中下車。
動線を進んでいくと、入り口近くに階段があった。
流される様に進んでいくと、映画のセット風なミニチュアの街へとたどり着いた。
此方もまたパンフレットより抜粋。
会場は円形になっていて、外周は建物で囲まれている。
ちなみに、建物はショップに見立てらているのだが、ディスプレイされている商品は子供向けと思えないリアルさ。
その建物と建物の間に通路があって、そこに入るとセットで見る童話の一場面と言った感じのコーナーが設けられていた。
“赤ずきん”や“ブレーメンの音楽隊”等、レジェンドクラスの童話を視覚と音声で没入感に浸る事ができるこの展示。
しかし、デフォルメされていない人形達は何処となく不気味だし、ボタンを押すと点灯するライトからは猟奇的な雰囲気を感じるのは文化の違いからなのだろう。
如何に日本がエンターテイメントに肥えているのか気付かされる内容でもある。
童話も一通り見終われば、あとは特に見るものは無し。
あるとしたら、取ってつけた様に設置されているデジタル顔ハメパネルで遊ぶくらいだろう。
異文化のレジャーを堪能し、EXITの文字を頼りに外へ出る。
だだっ広い空き地の奥の方いた鹿を横目に帰路に着いた。
回想のようにお送りした今回の話だが、当時は記事にしようという気持ちは無かったので、普段と比べると写真少なめだ。
実際は帰りの際にあったお土産ショップも味があっていい雰囲気だったのだが、そこら辺は行く機会があれば実際に見て確かめて頂きたい。