ガマの油売りの口上で伝承されたことから始まり、筑波山と言えば「ガマの油」が有名で、筑波山の近辺の土産物屋ではガマグッズがこれでもかと言わんばかりに販売されている。
ガマで町興しをして行こう!という姿勢は昔も今も変わらずにある筑波山近辺なのだが、それを強烈に印象付ける「ガマランド」というレジャースポットがある。
今回はガマランドとその関連施設に関してレポートしたいと思います。
ガマランドについて
筑波山と言えば、割とライトに登山体験ができるという事で中学校の課外活動でやってきた思い出があるが、登山より帰り道に見たレジャースポット「ガマランド」(「ガマランド」という表記は一部にしかないので実際の総称については不明)と、バスの中で友人が言った”筑波山で餅つくばーさん”というギャグの方が印象に残ってしまっている。
課外活動の一環としてやってきているのでガマランドに立ち寄らせてもらえる訳もなく、自分の中では幻の施設として記憶の中で眠っていた訳だが、今さらになって調べてみるとやはり訪れた人は多くって、施設の紹介なんかもたくさん出て来る。
ガマランドは三井谷観光という会社が経営しているらしく、ロープウェイ前の駐車場付近にでかでかと構えているというのに筑波山観光鉄道株式会社(ロープウェイとケーブルカーを運営している所)の観光ガイドには一切出てこない訳だが、筑波山登山経験者ならほとんどの人が知っている施設なんじゃないだろうか。
「ガマ大明神」
筑波山ロープウェイ「つつじヶ丘駅」前の駐車場に到着すると、嫌でも目に飛び込んでくる巨大四六ガマ。その下にガマランドがある。
施設の内容としては、屋上遊園地のような屋外プレイコーナー、土産物屋の筑波ニュー三井谷、食堂、お化け屋敷、巨大滑り台、展望台、神社?等々。狭い空間ながらも子供がはしゃいでしまいそうなラインナップが揃っている。
筑波山名物”ガマの油”もしくは”四六のガマ”に便乗した形でテーマ設定されているので、至る所にガマの油の宣伝やガマの置物なんかが設置されている。
ガマランド内にはガマ大明神なる巨大四六ガマが二体祀られて?いてお賽銭箱もしっかり設置されているのだが、筑波山は山丸ごと御神体だし、ガマの油と口上が有名というだけでガマが信仰の対象になっているわけではないので、きっとこれは登山ルートでいうと反対側にある筑波山神社をインスパイアした結果なのだろう。
天辺にあるガマ大明神の近くにはなんだか縁起の良さそうな狛犬ならぬ狛蛙が金塗されて設置されていたりする。
ちなみにガマランドの脇はロープウェイを使わない登山ルート、おたつ石コース出入り口にもなっている。
筑波山の登山中には奇石・怪石と言われる変わった石が数か所あるわけだが、ここガマランドにも変わった石がある。
石がある方へ進んでみると、何やらそれっぽい石に社が無理やりつけられたような石がある。(ここでもお賽銭をせびられる。)
ちなみに筑波山オフィシャルの奇石「ガマ石」がこちら。
懐かしのライド「プレイコーナー」
プレイコーナーには楽し気な遊具やライドが揃ってはいるのだが、自分が見た十数年前から変わらず残り続けているようのでかなり年季の入った感じ。
(天候が微妙に違うのは一カ月ずれで二回訪れた為。)
懐かしのライドが経年変化の末にいい感じに仕上がっていたので少し紹介したい。
こちらは街中でも稀に見かける、サトちゃんムーバーとサトコちゃんムーバー。
新幹線ライド。
クルマ系ライド。
コアラのライドとゲーム?と飾り。コアラのオブジェが多め。
ロボットライド。
もう動きそうにない中型のライド。
キリンハウス。肩から上がもげたキリンが中に入っている。
壊れたアーケードゲームの機体。
さらに階段を上がった先はミニSLが走っていたようだが今ではスペースシャトルの遊具だけが残っている。
ジャンボ滑り台。最初訪れた時はひび割れもあってガサガサになっていたが、筑波山神社付近で梅まつりが行われている影響で筑波山全体の来場者が増えている為、青いシートがひかれて滑りやすくなっていたので割と利用されていた。
「ガマの洞窟」と猪明神
ガマランドの目玉アトラクションの一つにガマ洞窟というものがある。
一言で言ってしまえばお化け屋敷なのだが、お化け屋敷とはガマランド内のどこにも明記されていない。代りに「ミステリーゾーン」とか「ガマからくり迷路」とか「神秘ガマ洞窟」等様々な名称が付けられている。
入場料の500円を払いガマ洞窟へ向かう。
入り口前ではかわいいラスカルのぬいぐるみがお見送りしてくれる。
入場口の玄関的な所はめちゃくちゃ狭いが、変わった置物が沢山置いてある。
さらに進み、黒塗りのドアを開けると中に入るも明らかにお化け屋敷の内装なので後悔しながらも先へ進む。
ぶつかると揺れ続けるお化け。かなりアナログな手法で来場者を攻めて来る。
原宿系な展示もあったりする。
ガマの洞窟ではあるがなかなかガマが出てこないと思いきや、急に蛍光色のガマが出てくる。
最後にはガマの御神体のようなものが出てきて、賽銭をせびられる。
見どころとしては、途中に猪明神なる筑波山で獲れた160kgの巨大猪の剥製が展示されているところだ。
かなり見づらいが、だいぶ昔からあるものらしいのでなんだか本当に御利益がありそうな感じがする。
お土産とレストラン「筑波ニュー三井谷」
ガマランドの中枢「筑波ニュー三井谷」。一階がお土産フロアで二階がレストランフロアになっている。
屋外では筑波ニュー三井谷名物の味噌団子の販売が行われている。
一階のお土産フロア。
今回の目的の一つでもあった”ガマの油”を購入。
施設についての話も聞いたりしていたところ、「よく昭和の雰囲気がすると言われるので昭和っぽく紹介してくれ」と言われたので、恐らくあえてノスタルジックな感じの物を置いているのだろう。
こちらは棚の上にあった”お酌パラダイス 釈お酌”。発売はおよそ15年前くらいの物。
レトロ感溢れる人形。
ガマグッズ諸々。
二階に上がってレストラン。ちなみにここは食べログでも紹介されている。
お土産、レストランフロア共々ロープウェイ乗り場のお土産コーナーとは違ってかなりアンニョイな感じだが、ギリギリのところで何にも頼らずにやっている感じがして良い。
ロッジ三井谷「イノシシ渓谷」
ガマランドだけでは物足りないという人の為に三井谷観光の関連施設も併せて紹介したい。
駐車場を出て山道を下ると、ロッジ三井谷というガマランドでも目にした名前の施設がある。
こちらの施設、先程の筑波ニュー三井谷と同系列のロッジなのだが現在は営業していない。
しかし、その隣にはイノシシ渓谷という看板と入り口があって、なんだか今でも入れそうな雰囲気なので行ってみることに。
入り口から入って、階段を下る。
間もなくすると絶壁な所にロッジが建っている。
営業していないので勿論中身は廃墟。
ロッジと山の斜面に挟まれたかなり狭い道だが、矢印の方向へされるがままに進む。
すると、大きい檻現れる。
中身は何も入っていない。
きっとここに猪がいたのであろうと思い、筑波ニュー三井谷の人に聞いてみたところ、「昔はかわいいウリボーがいたのだが徐々に大きくなってイタズラするようになって…」とのこと。
もしや、そのウリボーがガマ洞窟の猪明神に変わったのかと思ったが、アレは別の猪らしい。
「子授け地蔵」
ロッジ三井谷がガマランドの関連施設だったというで、三井谷観光は割とここら辺では手広くやっていたという事がわかった訳だが、もう一つ、筑波ニュー三井谷の人に「子授け地蔵というものがあるから是非紹介してくれ」と言われて折角なので行ってみることに。
こちらも山道の下り途中にあって割と直ぐ着くのだが、無料の駐車場完備という事で走り屋っぽい感じの車が沢山駐車してあったりする。
この場所の由来は
「この付近を通りかかった婆さんと爺さんが、追剥ぎにあって、一生懸命にげたのだが、老人のことでにげきれずに殺されてしまった。そこで村人は石仏をつくり春秋の彼岸の日に供養法要を営んだ。」その石仏を抱くと子宝に恵まれる。
というなんとも悲しいストーリーが起源としてあるらしい。
奥には金ぴかのお地蔵さんが眺めの良い場所にたたずんでいる。
由来となっている抱き石がある社へ。ここでは木札が300円で販売されている。
どれが抱き石なのかはわからないが、お地蔵さんと木札が大量に奉納されている。
しかし、この木札とお賽銭箱や文字の感じがどこかで見たような気がする…
気になって写真を見返してみるとガマランドで似たようなアイテムを見つけた。
確かにガマランドの脇でもでかでかと広告もされていた。
なるほど、そういう事ならこの場所を勧められた理由にも合点がいく。
ガマランド並びに三井谷観光の商売根性を改めて確認したところで筑波山を後にした。