自由研究|不思議発見体験レポート

不思議なことや、珍しいこと、物、場所を探して、考える。大人になってからやる自由研究。

下水道管に入ってみよう「ふれあい下水道館」

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毎日使用している生活用水は排水管を通って下水道へ流れ、処理場で再生されていずれは自分に戻ってくるという事は誰でも知っているだろうけど、処理場に行くまでの生活用水がどんな風だ?なんていう事は、ほとんどの人が知らないだろう。

そんな知識の隙間を脳と体へ直接教えてくれる施設がある、それが東京都小平市にある「ふれあい下水道館」。

小学生の頃に「生活」という科目の社会科見学として地元の下水処理場を見学しに行ったことがある。しかし、小学生の時分ではその下水を処理するという工程への興味関心がとても薄かったという思い出が薄い記憶の中にある。

何故、当時そこまで関心が持てなかったのかと思い返してみると、そもそも水への思い入れと言ったら、喉がカラカラに乾いた時に蛇口をひねって飲む水への有難味くらいしか無かったからだと思う。

一時は水不足で困った時期もあったが、基本的にはそこら中に水道のインフラは整っているのだから、水回りに関して困ることは少ないのが現在の日本だ。安全で当たり前に水道水が飲めるのに、その水道水がどこで、どんな風に、どうなっているのか、なんて考える人は少ないだろう。

下水処理の循環がどういったものかというのは常識として持っていたほうが良いことの範疇だと思うが、流れたトイレの水がどうなってるのか?とか、匂いはどうだ?とか、どんな生物がいるんだ?なんてところまで行ったらもはや冒険に変わる。

今回訪れた「ふれあい下水道館」はそんな冒険心をくすぐる、都内にある記念館だ。

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東京都小平市にある「ふれあい下水道館」は、府中街道沿いにある地上2階、地下5階の綺麗な円柱状の建物。割と広めの駐車場も完備されているし、入場料も無料だ。

ホームページより抜粋させて頂いた紹介文だと、

1990年度に下水道普及率が100%を達成したことを記念してつくられました。地下25メートルに埋められている下水道管の中に入り、実際に下水の色やにおいなどを体感できます。下水道の役割を知り、水環境について考えてもらう全国でも初めての施設です*1

と書かれている。

こちらの紹介文から解る事は、下水道の普及率が100%になったのは割と最近という事と、この施設から下水管の中に入ることができるという事。

各フロアの展示内容としてはこんな感じだ。

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お目当ては地下5階にある「ふれあい体験室」。

これは行ってからの感想だが、ふれあい体験室は順路的には最後のフロアとなるとはずだが、下水管を体験してからだと他の展示物への印象がかなり変わってくるので逆順にして最初にこのフロアに行ってしまってもいいのかもしれない。

くらしと下水道

最初の展示室には下水道と生活の歴史を辿る事が主な展示室になっている。

入った初っ端にある空中に浮かぶ白い赤ちゃんとお父さんがとても印象的な展示室だ。

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小平市の下水事情がざっと説明された後は、江戸時代→明治時代→現代という流れで、江戸時代のトイレのサイクルについてだったり、コレラとの死闘の末に生み出された神田下水の仕組みだったりが模型とコミカルな映像で説明されている。

ちなみに江戸のトイレ事情と神田下水の誕生については別フロアでより掘り下げて紹介されている。

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下水管をモチーフに作られた資料と年表なんかも展示されている。

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汚水の行方と処理の様子の展示。汚水がポンプ場で汲み上げられながら処理場に入って放流されるところまでが詳しく紹介されている。

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処理の合間で出て来る下水汚泥という産業廃棄物を有効活用して作ったオブジェや時計なども紹介されている。

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他にも下水の設計から管理についてのパネルや古代のトイレの説明とちゅう木と言うトイレットペーパーの代わりになっていた木の棒なんかが実際に展示されていたりする。

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小平の水環境と多目的空間

下水とくらしについての時代を追っての展示の次は、地下三階の「小平市と水環境」のフロア。こちらは小平市にスポットライトを当てた展示が主になっている。

このフロアは広めの休息スペースがあり、そこで子供達がわんさかとDSで遊んでいたので、なんだか地域のコミュニケーションスペースのような感じになっていた。

小平市に昔あった「まいまいず井戸」という、カタツムリの殻のように徐々に狭く掘り下げられていった井戸の模型が最初に展示されていた。

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水を組む為のアイテム達が展示されていたりする。

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地下水が上昇して新小平駅がしまったというハプニングの様子なども。

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蛇口から水が出るまでの紹介なんかも。

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その下、地下四階の「多目的空間」は特別展示室となっている。訪れた時の展示はいろはカルタで準える江戸の水事情についてや、コレラの流行から近代的な下水道ができるまでのストーリーなどがパネルで展示されていた。

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ふれあい体験室

下水処理の方法や、過去の日本人の水に関する知恵や、小平市の水事情についてサッと頭にすり込ませて地下五階「ふれあい体験室」へ向かう。

ちなみに、これまでエントランスホールから地下の展示へ向かう為に降りる階段があるのだが、そこは「ニュートラルゾーン」という名前がついていて、地下へ向かってる感じを連想させる雰囲気と現在の地上との距離や、土の展示、多摩川でとれる水草が展示されている。

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クリスマスが近かったので、水草の上にはクリスマスリースが飾ってあった。

各展示フロアによりつつ、最後の展示室「ふれあい体験室」へ。

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ここでは地下25メートルのところにある、下水道管があるので床は水はけのよさそうなタイルになっている。若干、下水の臭気も漂わせながらマンホールの中身やトイレの断面などが展示されていて、いよいよ感が強まってくる。

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下水道管に向かう前に下水の情報パネルなるモニターが設置されていて、その日の下水道管の中の状態が見える。

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この日は天気がものすごくよかったので、状態的には全て良好な下水道管を体験できるようだ。

体験コーナーへ向かう通行口は、まるで地下シェルターへ向かうかのよう。

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下水は大雨などが降った時には通用口まで水が上がってくることもあるらしいので、漏れ出さないように頑丈な扉がもう一枚設置されている。

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この扉は防水扉というそうで、潜水艦につけられているものと同じものらしい。

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中には発生ガスの値が表示されているメーターなんかも展示されていた。

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今までの展示から一線を画す雰囲気の通用口を抜けて、ついに下水道管に到着。

展示室から下水道管までの扉は全て全開になっていたので、たどり着くまでにも多少下水の匂いは感じていたが、流石に下水道管内部はかなり強烈。時間は午後2時くらいだったので量は少なめらしい。(出勤前の平日の朝方は特に強烈らしい。)

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この下水道は合流式下水道といって、小平市に住む約43300人分の生活用水と、雨水や工場から出た水なんかも全部一緒になって流れている。絵具をごちゃ混ぜにしたら無秩序で禍々しい感じの色が出来上がるが、臭いも同じなんだなと思う。きっと全世界共通で同じ臭いがするのだろう。

大きく息を吸うことはできないけれど、徐々に臭いにも慣れてはきたが、鼻と肺の間にぬるっとまとわりついてくるような感じは残っている。それもそのはずで、下水道の湿度は100%に近いらしく明かりで見えている部分はモヤッと白っぽく霧がかっている。

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臭いに感覚が行き過ぎてしまうが、よく音を聞いてみるとザーザーと奥の方で音がしている。これは単に下水道管の上流から下流に水が流れている音ではなく、さらに上流の方で別の下水道管の水がこの下水道管と合流するため、滝になって流れ落ちている音らしい。

上に取り付けられているカメラはいつでも下水の様子を見ることができるように設置されているカメラ。このカメラのスレスレのところまで水が上がってきた時の映像も展示室のモニターで見せてもらえる。

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この下水道管の中で流れる下水を眺めていると、社会のヒエラルキーなんて関係なくて結局行き着く場所は変わらないんだな、と少し悟りを開そうな感覚が目覚めそうになってくるような場所だった。

天候で流れはかなり変わってくるようなので、次回は天気が悪い日にでも来てみたい。

ちなみに、この日来ていた人が”下水道にはワニがいるって聞いたけど本当ですか?”という質問を下水道館のおじさんに質問していたけど、”環境的にはいるかもしれないけど見たことはない”という答えだった。

おまけ:ワークショップ(講座室)

地下一階に講座室という教室のような部屋がある。

この場所はワークショップなどの特別講座を行う際に使用される部屋のようだが、この日は科学少年が社会科の時間で必ず流れるアニメでおなじみの「モンタの冒険」をヘビーローテーションしていたのでついでに一緒に見せてもらった。

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この部屋では下水道に生息する微生物の研究もやっているようで、顕微鏡を覗かせてもらったりもした。

微生物たちは可愛くデフォルメされて、ふれあい下水道館のマスコットキャラクターになっている。

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